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オヤジ特製 ビーフジャーキーの作り方

 いつしか あかるくちかづいてくる太陽   種田山頭火

春の足音が近づいてきている信州だが、今日は雪が降っている。この冬に作った燻製、生ハム、パンチェッタ、ベーコンはすべて食べ尽くし、後はサラミ1本を残すのみとなった

太陽が力を増してくる頃に作り始めるのは「ビーフジャーキー」だ。オヤジの中で「ビーフジャーキー」とは「カウボーイが灼熱の砂漠で太陽の陽射しで灼いて作るモノ」という固定されたイメージがある。そう、「燻製」と言うより「干し肉」のイメージなのだ。実際真夏には燻製をかけず、干しただけの干し肉を作ったこともあるが、やはり燻製にした方が美味しいと言うことがわかった。

まだまだ寒く、太陽の光に力強さは足りないが、久しぶりに今週末に作ることにしよう。実はこのジャーキーにはファンがたくさんいるので、極秘で作戦を進行し、出来たらお裾分けで喜んでもらうのがオヤジの愉しみなのだ

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今回はオヤジのレシピを公開する。燻製としては失敗が少なく美味しいので是非挑戦して欲しい

いつも燻製には新鮮な肉に拘っているが、ビーフジャーキーに関してはこの法則が当てはまらない。国産牛、アメリカンビーフ、いろいろ試したが、オージービーフのチルド品が仕上がったときの堅さ、味ともに一番美味しかったのでずっと使っている。

オヤジのビーフジャーキー製造歴はもう三十年近い。作った量は記憶にないが数十キロになる。その経験から導きだしたレシピなのだからご信頼いただきたい。

 オージービーフ赤身 1Kg 肉の筋に沿って4〜5mm程度にスライス(掃除したときに出るスジや脂は、茹でて愛犬のおやつとする)

精肉店の保管庫で落とされてから一度も冷凍せず(チルド保管)熟成されているのを「例のやつちょうだい!」と言って放出させる。薄くスライスするには「半冷凍」して切ればなんとか切れるが、ここは肉屋のスライサーにお願いした方が間違いない。オヤジのビーフジャーキーは4mmの厚さで作る。仕上がりはちょっと堅めで歯ごたえがある状態になる。ソフトなジャーキーにしたければ5mmに切ってもらう。この1mmの違いで仕上がりが激変する。これも経験から導き出した。もっとも好みなのでいろいろ自分で試してもらえば良い。

スパイス類は以下になる。こちらも好みだが、塩抜きをしないので、この辺りを標準としていただきたい。

 岩塩   35g
 砂糖   30g
 醤油   大さじ1
 白だし  1/3カップ
 みりん  1/2カップ
 赤ワイン 1/2カップ
 水     1/2カップ
 黒胡椒 小さじ1 粒でも良いが、その場合は割ること
 ニンニク  大さじ1
 オールスパイス 小さじ1
 タマネギスライス 1/2個
 月桂樹   3枚
 タバスコ  5〜15滴ぐらい 子供に食べさせるのなら無しでもかまわない

漬け汁は漬け込む前日に作っておくことを忘れないように。上記の材料を鍋に入れ火にかける。沸騰させず5分ほど煮る。その後は自然に冷めるのを待つ。

スライスされた肉は結構大きいので4cm×8cm程度に切り分けておく。その肉をドバッと一度に漬け汁に入れてはいけない。1枚1枚丁寧に漬け汁に放ってゆく。時々軽く揉みながら肉にまんべんなく漬け汁が行き渡るようにだ

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約10時間漬け込む。そうしたら流水で一気に洗う。長く流水に晒してはいけない。

薄くスライスした肉を流水で数時間晒せば、塩気と一緒に旨味も抜けてしまうことは聡明な貴君にはご理解いただけると思う。だからオヤジは塩抜きせずそのまま食べられる味のレシピにたどり着き、漬け込みが終わった肉は軽く洗うだけで良いのだ

ザルにとり一度水気を切る。

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それから新聞紙の上にペーパータオルをひき、肉を一枚一枚並べ、またペーパータオルをひき、その上にまた肉を並べる。1Kgの肉を上記サイズに切り分けると約60〜80枚の短冊になるので、結構大変な作業だが手間とペーパータオルを惜しんではいけない。急速に水を切ってやることで肉の旨味プラス漬け汁の旨味が固定されるのだ。

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水が切れたら干物製作用の網籠に重ならないよう並べ風乾工程だ。時間は湿度にもよるが8〜12時間程度、表面が乾き、肉に張りが出たら頃合いだ。この時に軽く白胡椒の粗挽きを振ってやると風味が増す。好みだがけっこうお勧めだ

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燻製にかける際、オヤジはステンレスの金串にさして「すだれ」のようにしている。これだときっちり並べて、大量の肉を一度で燻煙にかけられる。燻製ボックスの金網に並べていると、この枚数は一度では燻製出来ない

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まずは60度ほどで1時間、煙をかけずに肉を乾燥させる。そのまま60度で1時間燻煙をかける。それ以上だと煙のえぐみが出てしまうのでこれで十分だ。まだ温かいうちにバーボンか日本酒の霧を吹いてやると、良い風味が付く事もお伝えしておく

金串に刺したまま一晩そのまま放置する。あと僅か我慢をすれば煙が落ち着き、翌日には旨味が凝縮され、良い香りがする「ビーフジャーキー」を味わえるのだ

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太陽が力強く降り注ぐ季節なら、風乾を外で直射日光を当ててやる。カラカラにならないように注意し、その後1時間ほど煙をかける。ビール片手に真夏の太陽を浴びながら噛みしめる。やはり「ビーフジャーキー」には夏の太陽がよく似合うのだ

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手作りの「ビーフジャーキー」はビールはもちろん、バーボン、日本酒、ワインにも合う。しっかり乾燥させれば長期保存も可能だ。管理する温度は60度前後で1時間なので段ボール製燻製ボックスにスモークウッドでも問題はない。燻製をやってみたい方は、このレシピを参考に「ビーフジャーキー」に挑戦し、酒が止まらなくなる「自分の味」を探求して欲しい

スーパーやコンビニでポリエチレンの袋に詰められて並んでいる、「ビーフジャーキー」に二度と戻れなくなってもオヤジの知ったことではないので悪しからず

掲載した写真は過去のものだが、今週末にベーコンと一緒に作るので、状況は追々Twitterでお知らせしたい。その頃には春の気配も濃くなっていればよいのだが
 

  もらうて食べる おいしい有りがたさ  種田山頭火
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今年の自家製生ハムは出来が良いぞ



  春もまだ寒い街角で 売る猪の肉で  種田山頭火

     新春あけましておめでとうございます。今年も宜しくお願いします

さっそくだが山頭火の句に「肉」のお題が結構あって驚いた。しかも街角で猪の肉が売られていたと知り、二度ビックリ

昨年の秋から燻製、ハム作りにかなり時間を割いた。生ハム1Kg、パンチェッタ500g、シュペック500g、サラミ2Kgで14本、ロースハム1Kg、頼まれた分も含めベーコンを5Kg、そしてスモークチーズを700g。合計約11Kgもの肉、チーズを加工した

燻製やハム類は熟成期間が必要なので毎年仕込み始めるのは九月の末から十月の初旬になる。この時期のオヤジは週末にはずっと肉と格闘し続けるのだ

今シーズンの生ハムは「パルマ・スタイル」にした。肉を塩だけで漬け込み、寒風にさらすだけ、燻煙はかけない


まずは新鮮な豚のもも肉を血抜きの為、塩を多めに纏わせラップで何重にも巻いて冷蔵庫で3日間放置

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にじみ出た血と塩を洗い落とし、肉の重量の4%の塩で再度2週間冷蔵庫で漬け込む。塩はアンデスの岩塩を使う

作業はすべて充分に手を洗い、使う物すべて消毒をして作業に当たる。生の肉を加熱せず長期間熟成させるのだからね


塩漬けが終わった肉は表面の塩をなじませる為1時間ほど水に漬け塩抜きをする。一応味見をして、ちょっとしょっぱいかなぐらいでやめておく。充分に水分を拭き取ってから脱水シート「ピチット」にくるんで三日ほど水分を抜く

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水分が抜け、締まった肉を見よ

作業すべて、くどいが充分消毒した手で扱いように。水分が抜け、締まった肉をミートネットに入れ、ここで重量を量って記録しておく。完成の目安は重量が60%ぐらいになった時だ。
ネットに入れた肉を倉庫の天井へ吊し、冬の空気の中で乾燥熟成させる。これから約三ヶ月、時のゆりかごに預け、じっと待ち続けるのだ。

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しかしただ指をくわえ、肉を眺めていてはいけない。定期的に重量を量り記録する。燻煙をかけていないので肉は得てしてカビを纏ってしまう。白カビなら良いのだが極彩色のカビ、特に赤いのや黒いのは、最悪その時点で今年の生ハムはあきらめて廃棄することになる。そこでいつも消毒に使っているアルコール度数96%の世界最強の酒「スピリタスの霧」を吹きかけて凌ぐのだ

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表面にこびりつく白い粉のような物、これはアミノ酸の結晶「チロシン」。これが吹き出してきたら大いに期待して良い。美味い生ハムが熟成され始めたのだよ


そして約三ヶ月。重量が60%を切り、触ると堅いと感じる程度の弾力になってきたらほぼ完成。分厚い脂に覆われた腿そのもの生ハムだと1年2年の熟成が必要だが、1Kgそこそこのもも肉なので3ヶ月ぐらいでやめておかないと干からびた鰹節のようになってしまう

そして今年ナイフを入れてみたらこの美しさ!そして熟成の香り!イタリアではこの香りを「履き続けた靴下の香り」と表現するらしいが・・・まあそんなモノだ

臭いの例えを聞き、この干からび、カビと白粉に覆われた食い物らしくない表面を見、されどこの肉の色でよだれが湧き出すようなら貴君は本物の食いしん坊である

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昨今の天候が助けてくれたのか近年になく良い出来だ。早速味見してみたら塩味もちょうど良い。こういう出来だと苦労が吹き飛んでしまう

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一年に一度しか作れない生ハム。そう思うとこの肉の色がいとおしく、ねっとりとした舌触りと味に感動すら覚える。本場イタリア、スペインの生ハムと比べれば、やはり室温に戻したときの脂のにじみ具合が及ばないが、味はかえって日本人好みに仕上がっていると思う。

燻製の設備はいらないので、皆さんも来年の秋に挑戦してみたらいかがだろう。冬の平均気温が10度以下、湿度70%前後の場所なら問題無く作れる。肝は徹底した衛生管理と、長期熟成に耐えられる新鮮な肉。そしてやる気と食欲だけだ

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「カンパーニュの生ハムトースト スモークチーズトッピング」

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正月に帰省した娘が作ってくれた「カルボナーラの生ハムのせ」

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そして帰って行く娘にごっそり持って行かれ、残り僅かな燻製、生ハムと相成った


  雪ふる 食べる物はあつて 雪ふる   種田山頭火



長い冬に備え燻製を作るのだ

すっかり枯れて 豆となってゐる  種田山頭火

晩秋を過ぎると家庭菜園の農作業も一段落。野菜は枯れて次の春の為に豆をなしている。

オートバイ乗りのオヤジは春、夏、秋と一緒に疾走ってくれたオートバイを洗い、ガソリンを満タンにし、キャブレターに残ったガソリンを抜く。冬の間雪に閉ざされる信州のオートバイ乗りはこれから春まで、オートバイを冬眠させるのだ

そしてこの時期からオヤジは燻製オヤジに変身する。10月はじめからずっと食欲魔神となって1ヶ月毎週末に肉と戦う。
10月の信州は空気が乾燥し、気温が下がるので、外気にさらし長期熟成させる生ハム、サラミ、パンチェッタ作りに適した季節なのだ。そしてそれは燻製作りを趣味にしているオヤジにとって愉しみな季節なのである

ももやロース肉のかたまりを塩漬けして干す生ハムは3ヶ月、腸詰めして作るサラミは2ヶ月、バラ肉を塩漬けして干すパンチェッタは1ヶ月以上干したい。長期熟成する生ハムは燻煙をかけないので腐敗、カビとの戦いになる。とはいえ、充分に細菌管理をして干しておくだけなんだけどね

まずは生ハム。インターネットを見ていると数週間から1ヶ月ぐらいで食べちゃう人も多いけど、本場のイタリア人が「あれは塩漬け肉の刺身で生ハムじゃない」と言った言葉が忘れられない。やはり1ヶ月程度で食べちゃうよりは3ヶ月程度熟成させた方が間違いなく美味しい。ただし長期熟成は、出所がしっかりした新鮮な肉を使うことが大前提だ。
まあ、本来の生ハムは骨付きもも肉を1年以上熟成させるということはわかるが、ここ信州でも梅雨の湿気、夏の高温を考えると、1Kgほどの肉を熟成させるのは冬の三ヶ月が精一杯だと思っている。

分厚い脂肪で守られた骨付きのもも肉なら日本でも1年以上の熟成が可能なのだが、2万円もするもも肉一本を買う勇気をオヤジは持ち合わせていない


最近ハウツー本やブログで「簡単 燻製作り」がはやっているようだ。「簡単」なことは始めてみるには良いことで、あえて否定するものではないが、できれば本来の燻製、ハム作りに是非挑戦して欲しい。ゆで卵やちくわなんぞを燻してるんじゃなく、「簡単」を卒業したら、じっくり熟成させた肉を燻して欲しい。

それはめんどくさくて、手間も時間もかかる物だが「趣味なんだから手間を愉しむ気構え」で遊んでくれ。最初に「簡単な方法」を覚えてしまうと、その先にある「奥の深さ」を知らないままになってしまう。「燻製やハムが持つ本来の味と豊かさを知って欲しい」と、偏屈になり始めたオヤジは強く願うのである





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塩だけで2週間漬け込んだ肩ロースブロックをもう2ヶ月こうやって倉庫の天井に吊している。白く吹き出したのはカビじゃなくてアミノ酸ね。熟成は進んでいるのだ

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これは去年ロース肉で作った生ハム。塩気が薄くて反省材料となった。一年に一回しか作れないところは野菜と似ている

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こちらはサラミ、20度以下の冷燻を1週間かけてから倉庫の天井に吊している

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吊して一ヶ月半経ったサラミ、切り口の大理石模様に感動していただきたい。サラミを作るときに混ぜるブランデーを餌に酵母が乳酸発酵して熟成するのがサラミ。だから本物のサラミは酸っぱいのだ。ご存じだったかな

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これはバラ肉を塩漬けして干して作るパンチェッタ。断面の脂の白と赤身のコントラストが綺麗でしょう。アマトリチアーナやカルボナーラはベーコンではなく、本来パンチェッタで作るのだ

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炒めると熟成したパンチェッタの脂は透明になる

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オヤジ自慢のカルボナーラだよ

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今年はパンチェッタに燻煙をかけてシュペックを作ってみた。オーストリアやドイツ、イタリアの北部で生ハムに燻煙をかけて作るシュペック。生ハムとはまたひと味違う香りと味が楽しめる。まだ熟成中なので切ったらツイッターにアップするのでお楽しみに

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生ハム、シュペック、サラミを並べてみた。夕日を浴びて美味そうだがまだまだ食べない

年末にはロースハムそしてスモークサーモン、スモークチーズを作り、正月を迎えるのが燻製オヤジの一年の締めなのだ
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スモークサーモンは10度以下の冷燻で作るのでこの時期しか作れない

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スモークチーズはゆっくり二日がかりでスモークし、オヤジはこの色づきにこだわる

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去年丸く成形しなかったロースハム 今年は丸くするぞ

今年は雪が遅く乾燥した晴天が続いたので、例年より乾燥が早く進んだ。早ければ良いという物ではなく熟成と乾燥のバランスを取るのが難しい。干からびた生ハムになってしまった年もあった。カビでどうにもならない年もあった。塩辛かったり、味がしなかったり、腐らせたことはないがオヤジも結構失敗を重ねているのだよ。
ここに来て湿度が上がったので何とか干からびず持ちこたえているようだ。カビの発生が心配なので世界最強の酒、96度のスピリタスを霧にして吹き付けている

今年の正月は珍しく娘が帰ってこられるようなので、家族で燻製、ハム三昧だ。雪に埋もれる季節だが、暖かい部屋で赤ワインやビールでやっつける生ハム、サラミは、それまでの苦労(吊しておいただけなのにね)が吹き飛ぶ旨さなのだ


  雪ふる 食べるものはあつて 雪ふる  種田山頭火



自家製サラミの作り方 

今回は燻製の話。なので山頭火の句の紹介は無し。だって山頭火はサラミ食べていないものね

昼間の気温が20度程度になってきたら、私は生ハム、サラミ、パンチェッタを冬の楽しみとして作るのが毎年恒例の作業だ。

中でもサラミ作りは工程が多く、作業も大変。しかし完成までの楽しみ、仕上りの味、趣味としての満足度は最高なのである

  そして重要なこと「本物のサラミは発酵食品なので酸っぱい」のだ。ここをよく覚えていて欲しい

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 今シーズン作ったサラミ

「自家製サラミの作り方」をネット検索してもまず出てこない。「加熱タイプ」や「簡単・・」というまがい物は結構出てくるが、長期間自然乾燥、熟成させるタイプの作り方はほぼ無い。もちろん腐敗、細菌との戦いなので、万が一の際の責任が取れないという理由もあるのだろう。

かく言う私の作り方もたぶん本場のサラミの作り方とも違う。日本でも作れる本格サラミのレシピ、たぶん私のオリジナルだと思うが美味しいサラミが出来るので公開しよう。
燻製作り、ソーセージ作りをやったことがある人なら充分作れるので、是非挑戦して欲しい。市販品は食品添加物のこともあるが、もう二度と口にしたく無くなる逸品が出来る。正月に食べるのであれば、この時期から始めないと間にあわない

     でも完成品を食すのは「あくまで自己責任」でお願いする



  肉 精肉店で屠殺日がしっかりわかる新鮮な肉を入手。サラミを作ると告げること
         肉は精肉店で挽いてもらった方が後が楽 間違ってもスーパーの挽肉は買ってはいけない

    豚モモ赤身 500g  6mmカッターで一回挽き
    牛モモ赤身 300g  6mmカッターで一回挽き
    豚バラ   200g  9mmカッターで一回挽き
    豚 腸    精肉店で入手する 1Kgの肉で9本作る


  スパイス 味見、香りで好みの調整

    岩塩        25g  精製塩はだめ 岩塩には若干天然の亜硝酸塩が含まれているのだ
    三温糖        7g
    ブラックペッパー   4g 粗挽き
    ホワイトペッパー   4g
    ナツメグ       若干
    カルダモン      若干
    ホールペッパー    5g程度を軽くつぶす 無くてもかまわない
    ブランデー      50cc 風味が良くなるのでもったいないと思わないこと


  その他  食品消毒用アルコール 私はスプレー容器に入れた世界最強の酒「スピリタス」を使っている
      スタッファー 肉を絞り出す専用具 ネットショップ、調理器具を扱う金物屋で売っている
      たこ糸     両口を縛り数ヶ月つるすのでしっかりした紐で
      まち針    出来上がったサラミから空気を抜くのに使う
      調理器具は写真参照 自宅にある物で十分

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 こいつアルコール度数は96度もあるのだ 驚いたか!

まずは充填工程に入る。スパイス類はすべて計量し、十分に混ぜて用意しておく

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豚腸は30分前には必要な長さを用意し、塩抜きをしておく。内側洗浄のため数回腸の中に水を通すことをお忘れ無く。この後は乾燥させないよう常に水の中で扱う。乾燥すると簡単に破れる、しかし濡れていれば強引に扱ってもそう簡単に破れないのだ

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たこ糸も長さと数を事前に切って用意しておく。バラ肉は30分前に冷凍庫へ入れ、少し凍らせておくのが肝だ。

さてテーブルに上記の物をすべて用意したなら、厳粛な儀式に入る。肉が触れる物すべてを消毒する。
器具類はすべて煮沸消毒。手は手首まで石けんで洗い、アルコールで消毒する。生肉を加熱せず長期熟成させるのだから、入念にやって欲しい。


アルミバットには少し水を張って、サラミが投入されるのを待つ。こうしておくと作業が楽だ。大きめのボールに氷を入れ、その上にもう一個のボウルを重ね、常に肉が冷えている状態にしておく。豚モモと牛モモを投入したら、肉が手で暖まらないように氷を数個入れる。スパイス、ブランデーを一気に投入。後はひたすら肉を揉み込む。

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ボウルの下の氷と、先ほど投入した氷で雪をもむような冷たさで手がかじかむが負けてはいけない。我慢を重ね約10分、肉がエマルジョン化するまで揉み続ける。苦行である

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続いて事前に冷凍庫で少し凍らせておいたバラ肉を投入。脂肉のかたまりが溶けないよう慎重に肉に混ぜて行く。全体が均等に混ざったら終了だ

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もう流し場に駆け付け、冷え切った手をお湯で暖めても良いのだ。

一休みしたらスタッファーに塩抜きした腸を差し込んでゆく。水を十分に使い、常に濡れた状態を保たなければいけない

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スタッファーに肉を適量入れ肉を絞り出す。これが冷えて固い肉なので簡単には出てこない。体重をかけ汗をかきながら頑張る。基本はソーセージ作りと同じなので細かい手法はネット「ソーセージ作り」で調べて欲しい。
女性だったら男手を用意し、手伝ってもらった方が良い。苦行である

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絞りながら腸にきっちり肉を詰めるには、結構な器用さが求められるのだ

1本1本たこ糸で縛り切り離す。ここがソーセージ作りと違うところだ。ぶら下げて乾かすのでたこ糸は長目にしておいて欲しい。そして1本選んで「標準木」とし、目印を付け重さを量る。これからこの1本の重さを量りながら熟成度を判断する。

ここでまち針の登場。ソーセージ作りでは「腸の中に入った空気を抜く」とかいてある。見える空気はもちろん腐敗の原因になるので、針で刺して抜かなければいけない。でもそんなに丁寧にやらず、片っ端から数十回刺してしまってもかまわない。YouTubeで本場イタリアの動画を見たら剣山みたいな器具でブスブスやっていたから間違いない

すべての作業が済んだら乾燥工程に入る。出来たてをキッチンペーパーで拭き、水分を取る。次に「ピチット」なる食品脱水シートにくるむ。このシートはなかなか優れもので、水飴の浸透圧を利用し、食品の余分な水分を取ってくれる。このシートのおかげで家庭で生ハムも作れるようになったのだ

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一週間ほどシートを交換しながら冷蔵庫の中で水分を抜いて行く。それからまた1週間ほど乾燥させる。今の時期、昼間ははまだ20度ほどあるので、腐敗を避けるため冷蔵庫の中で裸のまま乾燥させた方が良い。この時点で10〜15%程度重量が落ちているはずだ。

続いて冷燻工程に入る。燻煙材の熱で燻製箱内の温度は簡単に20度以上になってしまうので燻煙材は燻製箱の外で扱う。外の金皿で燻煙材を燃やし、その煙だけをアルミダクトで燻製箱へ誘う。常に箱の内部温度を確認し、20度以上になるようならジップロックに氷を入れ、煙の出口に置き煙と庫内を冷やす。

まだ秋とは言え夜の戸外は冷える。一日2時間、一週間連続で毎夜この作業を行うのだ。苦行である

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赤いタグ付きが「標準木」

燻されたサラミは「サラミらしい色」になってくる。

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本場イタリアでは燻煙はかけない。その代わり白カビを纏わせ熟成させる。我が家は「納豆好き」だし、倉庫に白カビはいなそうなので燻煙(殺菌)をかけている。(納豆菌は強力なので発酵食品系カビの天敵。日本酒の酒蔵では納豆は食べない)

冷燻工程が終わったらやっと乾燥熟成工程だ。常に湿度計を確認しながら70〜80%の湿度で乾燥させて行く。ゆっくり乾燥させないといけないし、多湿だと冬でもカビの餌食になる。野外と倉庫内を行き来しながら乾燥させて行く。我が家では倉庫の天井に生ハム、パンチェッタと一緒に吊してある

すべての工程で肉に触る前に手や器具は充分消毒をして欲しい。触った後もスピリタスを肉にスプレーするぐらい神経質になって欲しい

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手前のバラ肉はパンチェッタ 塩漬けしたバラ肉を燻製せずに干して作るのだ。カルボナーラはこれでなくちゃね

120gからスタートしたサラミは3ヶ月の時を経て完成する。重量もほぼ70gになっている。触るとかちかちだが、切ると不思議なしっとり感がある。苦行に耐え、食欲と細菌に負けず完成したサラミは、切って暫くするとほんのり脂がにじみ出てくる。そのままでも良し、オリーブオイルをかけても良し、もちろんピザにトッピングしても良し

そして冒頭で書いたように本物のサラミは乳酸発酵しているので酸っぱいのだ。咀嚼し始めるとまず酸っぱさが口に広がる。噛み続けていると酸っぱさの向こうから熟成した肉の芳醇な味がやってくる。暫くは飲み込みたくない、苦労が報われる味なのである

酸っぱくないサラミを食べたら成分表を確認すること。二度と口にしたく無くなるはずだ

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 今シーズンに作ったサラミ、パンチェッタ、生ハム そして夕日ね

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  三ヶ月かけて作っても、無くなるまでの速さたるや・・・

     また来年のサラミシーズンまで長い飢えた日々が続く

      

スタインベックの「朝めし」に出会い 「燻製作り」を趣味とする

   空腹かかへて 落葉ふんでゆく  山頭火

私が燻製作りを趣味としてもう20年近く経つが、なぜ燻製に興味を持ったのかというと、スタインベックの「朝めし」を読んだからである。
開高健が、何の文章だったか「この世で一番旨そうな朝飯を書いた小説」と絶賛したスタインベックの「朝めし」わずか3ページの短編だが食いしん坊にとって「珠玉」と呼ぶにふさわしい短編なのである。

青年がアメリカ南部の朝の風景を語っている。朝日が昇り、凛と冷えた空気の描き方が素晴らしい!目に浮かぶようだ。
そして貧しい綿摘みの季節労働者家族のテントに立ち寄る。ちょうど彼らは朝食の準備をしている。ベーコンと焼きたてのパン、そして熱い珈琲だけの朝めし。

朝のすがすがしい空気に満ちる焼けたパンとベーコン、そして珈琲の臭いがリアルな文章でかき込まれている。

家長である男が「朝飯がまだなら食ってゆくかね」と誘ってくれる。青年はそこでその質素な朝食をごちそうになるのである。

自らの脂の中で身をよじり、焦げる、焼き上がったベーコン、そしてその油をたっぷりとパンにかけ、男達はむさぼるのである。
彼らはベーコンとパンを口いっぱいにほおばり、何度もかみ砕いてのどの奥へと送り込む。この描写を読んでもまだ朝食を抜く若者がいるとしたら、尿酸値が若干高めのオジサンは日本の将来に大きな不安を抱くのである。

 「ベーコンの焼ける臭いが沸き立つ文章に、おなかを鳴すことは恥ずかしいことではない」

焼きたてのパンをベーコンの脂で食べたい!「旨い脂をしたたらせる、健全なベーコン」を食べるなら自分で作るしかないだろう。食いしん坊は単純にそう思ったのである

燻製を私の趣味にさせた経緯はこんな簡単なことなのである。しかし人生に大きく関わる小説に出会うと言うことは、十分に感動して良いことなのである。

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        「自家製ベーコンが纏う黄金の脂じゃ」

このブログを読んで「スタインベックの朝飯を読みたい」と思った方は、こちらに原文と対訳を載せたブログがあります。素晴らしい対訳で、おなかがすき、爽やかな気持ちになれますので是非!
         http://haruuo3.blogspot.jp
プロフィール

cjjfish

Author:cjjfish
信州からオートバイ乗りのオヤジがツーリング、燻製作り、家庭菜園のことなどを種田山頭火の句と織り交ぜ書き連ねます

  山あれば山を観る
 雨の日には雨を聴く
    春夏秋冬
  あしたもよろし
  ゆうべもよろし
すなおに咲いて白い花なり

   種田山頭火

Twitter つー坊 @cjjfish

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