「スピードの中で精神は肉体を超越する」

 思いはぐるる 月星夜 森の心澄む   種田山頭火

「スピードの中で 精神は肉体を超越する」

これはアラビアのロレンスの言葉だ。オートバイのロールスロイスと言われる「ブラフ・シューペリア」に乗り、オートバイの事故で他界したトーマス・エドワード・ロレンス卿。この言葉は昔からオートバイ乗りの常套句でもある。
これは「ライディング・ハイ」を表現した言葉とも言われるが、オヤジはそれだけでは説明が付かないと思っている

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       アラビアのロレンス

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  ブラフ・シューペリアに乗るロレンス

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  「Came on Man!」 この映画は名作だ

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     ブラフ・シューペリアね オーラを放ち現代に甦っているのだ


確かに高速道路を長時間ハイスピードで走り続けているとドーパミンが放出され「ライダーズ・ハイ」になったようなこともある。オートバイ乗りなら誰でも経験ある、高速で走っている時に感じる不思議な浮遊感。集中してワインディングを走っている時に感じる無重力感。果たしてロレンスはそのことをこの言葉に込めたのだろうか。

機械との一体感・・人馬一体となった走り・・・それは果たしてスピードという観念の中ではどう理解すればよいのか。

オヤジはZX12RやZZR1400を乗り継いできたので300Km/hと言う世界を知っている。巡航速度200Km/hオーバーでタンクが空になるまで走り続けた事もある。だからこそロレンスが言った「スピード」は「ハイスピード」のことではないと思うのだ。

歳を重ね今は頑張ってアクセルを煽っても最高速140Km/hがやっとというオートバイに乗っている。田舎のたんぼ道を60Km/hで走っている。それでも「精神は肉体を超越する」瞬間があるのだ。風はやみ、音は消え、振動は離れ、心を満たしてくる何か・・

この言葉は昨日Twitterで若いバイク乗りとツィートしているときに、ふと思い出した。若者は若者の感覚でこの言葉を「スピードは自分の精神以上に身体を働かせる何かを秘めているのかなぁ」と言った。感動した!

オヤジが初めてこの言葉を知ったのは、きっと今の彼と同じ年頃の頃だったと思う。当時「週刊プレイボーイ」に連載されていた「ケンタウロスの伝説」の中で語られた言葉だった。「スピード」はまさに「ハイスピード」速ければ速いほど精神は肉体を飛び越え何かをもたらすと思っていた。でも何も感じなかったのだ。

今の若者はオヤジが思う以上に素晴らしい感性を持っている。そしていつかこの言葉が持っている「なにか」を自分のオートバイ人生に描き込んで欲しいと思うのだ

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  ヨコハマに実在する「ケンタウロス」を扱った漫画 これも名作だ



オヤジはこの先何年もオートバイに乗り続けるだろう。何年かしたら近所の畑に野菜の世話をする為に荷台に鍬をくくりつけたカブに乗っているのだろう。長靴履きでカブを走らせながらでも「スピードの中で精神は肉体を超越する瞬間」がくることを信じて疑わないのだ



「ケンタウロスの伝説」の中で、オヤジの心に今でも残る一文がある。主人公が「オートバイに乗ること」がどういう事か気がつく時に謳われたアルチュール・ランボーの詩

  「見つけた! 何を 永遠を 海と溶け合う太陽を!」  アルチュール・ランボー

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この「永遠」という詩はランボーの代表作だ。ジャン=リュック・ゴダールの映画「気狂いピエロ」のエンディングシーンにこの詩は使われている。映画自体全く理解不能だったが、この詩が使われているラストシーンにオヤジは肉体を超越する何かを見たのだ

しかしオヤジの脳裏に浮かぶ映像は・・・正直に言おう これだ!    ふじこちゃ〜ん

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  投げ出された肉体が あざ笑ってゐる   種田山頭火




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今年の自家製生ハムは出来が良いぞ



  春もまだ寒い街角で 売る猪の肉で  種田山頭火

     新春あけましておめでとうございます。今年も宜しくお願いします

さっそくだが山頭火の句に「肉」のお題が結構あって驚いた。しかも街角で猪の肉が売られていたと知り、二度ビックリ

昨年の秋から燻製、ハム作りにかなり時間を割いた。生ハム1Kg、パンチェッタ500g、シュペック500g、サラミ2Kgで14本、ロースハム1Kg、頼まれた分も含めベーコンを5Kg、そしてスモークチーズを700g。合計約11Kgもの肉、チーズを加工した

燻製やハム類は熟成期間が必要なので毎年仕込み始めるのは九月の末から十月の初旬になる。この時期のオヤジは週末にはずっと肉と格闘し続けるのだ

今シーズンの生ハムは「パルマ・スタイル」にした。肉を塩だけで漬け込み、寒風にさらすだけ、燻煙はかけない


まずは新鮮な豚のもも肉を血抜きの為、塩を多めに纏わせラップで何重にも巻いて冷蔵庫で3日間放置

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にじみ出た血と塩を洗い落とし、肉の重量の4%の塩で再度2週間冷蔵庫で漬け込む。塩はアンデスの岩塩を使う

作業はすべて充分に手を洗い、使う物すべて消毒をして作業に当たる。生の肉を加熱せず長期間熟成させるのだからね


塩漬けが終わった肉は表面の塩をなじませる為1時間ほど水に漬け塩抜きをする。一応味見をして、ちょっとしょっぱいかなぐらいでやめておく。充分に水分を拭き取ってから脱水シート「ピチット」にくるんで三日ほど水分を抜く

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水分が抜け、締まった肉を見よ

作業すべて、くどいが充分消毒した手で扱いように。水分が抜け、締まった肉をミートネットに入れ、ここで重量を量って記録しておく。完成の目安は重量が60%ぐらいになった時だ。
ネットに入れた肉を倉庫の天井へ吊し、冬の空気の中で乾燥熟成させる。これから約三ヶ月、時のゆりかごに預け、じっと待ち続けるのだ。

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しかしただ指をくわえ、肉を眺めていてはいけない。定期的に重量を量り記録する。燻煙をかけていないので肉は得てしてカビを纏ってしまう。白カビなら良いのだが極彩色のカビ、特に赤いのや黒いのは、最悪その時点で今年の生ハムはあきらめて廃棄することになる。そこでいつも消毒に使っているアルコール度数96%の世界最強の酒「スピリタスの霧」を吹きかけて凌ぐのだ

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表面にこびりつく白い粉のような物、これはアミノ酸の結晶「チロシン」。これが吹き出してきたら大いに期待して良い。美味い生ハムが熟成され始めたのだよ


そして約三ヶ月。重量が60%を切り、触ると堅いと感じる程度の弾力になってきたらほぼ完成。分厚い脂に覆われた腿そのもの生ハムだと1年2年の熟成が必要だが、1Kgそこそこのもも肉なので3ヶ月ぐらいでやめておかないと干からびた鰹節のようになってしまう

そして今年ナイフを入れてみたらこの美しさ!そして熟成の香り!イタリアではこの香りを「履き続けた靴下の香り」と表現するらしいが・・・まあそんなモノだ

臭いの例えを聞き、この干からび、カビと白粉に覆われた食い物らしくない表面を見、されどこの肉の色でよだれが湧き出すようなら貴君は本物の食いしん坊である

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昨今の天候が助けてくれたのか近年になく良い出来だ。早速味見してみたら塩味もちょうど良い。こういう出来だと苦労が吹き飛んでしまう

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一年に一度しか作れない生ハム。そう思うとこの肉の色がいとおしく、ねっとりとした舌触りと味に感動すら覚える。本場イタリア、スペインの生ハムと比べれば、やはり室温に戻したときの脂のにじみ具合が及ばないが、味はかえって日本人好みに仕上がっていると思う。

燻製の設備はいらないので、皆さんも来年の秋に挑戦してみたらいかがだろう。冬の平均気温が10度以下、湿度70%前後の場所なら問題無く作れる。肝は徹底した衛生管理と、長期熟成に耐えられる新鮮な肉。そしてやる気と食欲だけだ

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「カンパーニュの生ハムトースト スモークチーズトッピング」

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正月に帰省した娘が作ってくれた「カルボナーラの生ハムのせ」

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そして帰って行く娘にごっそり持って行かれ、残り僅かな燻製、生ハムと相成った


  雪ふる 食べる物はあつて 雪ふる   種田山頭火



プロフィール

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Author:cjjfish
信州からオートバイ乗りのオヤジがツーリング、燻製作り、家庭菜園のことなどを種田山頭火の句と織り交ぜ書き連ねます

  山あれば山を観る
 雨の日には雨を聴く
    春夏秋冬
  あしたもよろし
  ゆうべもよろし
すなおに咲いて白い花なり

   種田山頭火

Twitter つー坊 @cjjfish

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