30年の時を経て、最後の1ページを差し込んだ

    空へ 若竹のなやみなし 山頭火

二十代の頃、東急田園都市線の溝ノ口に住んでいた。そこから246号を使い勤め先の渋谷までバイクで何分で行けるか。毎日そんなアブナイことをやっていた。ちなみに深夜2時、当時乗っていた壊れそうな音を立てるカワサキで17分という記録を作った。もちろん信号は守ったが、スピード規制は守らなかった。

その頃バイク乗り達が大好きだったのが片岡義男氏の角川文庫、赤い背表紙の本だ。片岡義男氏の妙にクールな文体、大谷勲氏の気温まで写し取った写真、そして大きなバイクに乗った白いTシャツの華奢な女性 三好礼子さん

    「幸せは白いTシャツ」

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青春の一時期にバイクに乗っている自分を映像として風景に重ね合わせる楽しみを教えてくれた小説だった。そして彼女にツーリング先で出会いたいと叶わぬ夢を見たものだ。

出会ってから30年、この本はずっと書棚から消えることなく私と一緒に人生を歩いてきた。そして

  いつか三好礼子さんと一緒に笑っている自分の写真をはさみ、最後の1ページにしたいと思った。

そんな思いを30年間忘れずにいた。何年もかかって心の片隅に貯まってしまった「澱」。そう、こんな思いを「澱」だって言う人もいるだろう。でもね、旨いワインには「澱」はつきものだ。その澱を濁らせずにそっと光の下に戻してやると「青春の残り香」ってヤツに触れられる。

そして今日、最後の1ページに30年という時を経て、想いのこもった写真を差し込むことが出来たのだ。

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信州からオートバイ乗りのオヤジがツーリング、燻製作り、家庭菜園のことなどを種田山頭火の句と織り交ぜ書き連ねます

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    春夏秋冬
  あしたもよろし
  ゆうべもよろし
すなおに咲いて白い花なり

   種田山頭火

Twitter つー坊 @cjjfish

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